第116章 香り

面接官二人が、思わず息をのんだ。

「南川部長……?」

華耀グループの選考では、選考責任者に一票で覆せる権限がある。つまり南川元人が口を開いた時点で、田中未菜には判決が下ったも同然だった。採点すら不要――不合格。

田中未菜はその場に立ち尽くし、わずかに途方に暮れる。

面接官たちは南川元人へ視線を向けた。疑問がありありと浮かんでいる。――これほどの逸材に、なぜチャンスを与えないのか。

だが南川元人は何ひとつ説明しない。公的な口調のまま言い切った。

「田中未菜。パフォーマンスは良かった。しかし今回は、華耀グループの選考基準に合致しない。退出して、次の候補者を入れてくれ」

田中未菜は掌...

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